生活習慣の改善とセルフケアについて
- 減量
- のどの周囲の脂肪沈着など、肥満は重要な危険因子です。今太っている方は、適正体重を目指すよう心がけましょう。やせることは治療の一環となります。
- 飲酒制限
- アルコールはのど・気道の筋肉を緩めた状態にさせます。気道の閉塞を悪化させるため、夜の飲酒はやめましょう。
- 禁煙
- 体内の酸素濃度を低下させることや、喉や気道に炎症を引き起こすことがあります。禁煙をお薦めします。
Specialty outpatient
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。10秒以上呼吸が停止する無呼吸を、1時間に5回以上繰り返す頻度で起こります。昔新幹線の運転手が居眠り事故を起こした原因の病気として知られるようになりました。決してまれな病気ではなく、日本人の無呼吸による呼吸障害(中等症以上)の方は約900万と推計されています。
睡眠中に息が止まっていても、グッスリ眠っている最中ですから苦しく感じることはありません。病気が起こっていると気づくことは難しいと思います。ですが、いびきや日中の眠気以外にも、この病気を疑うポイントがありますので、症状とセルフチェックを参考にして下さい。
この病気の大切なことは、睡眠中の無呼吸による低酸素状態がどのくらい強く引き起こされているのかです。酸素不足を強く伴っている場合には、脳や身体に大きな負担を与えてしまいます。
これらの病気を持つ患者さんでは、睡眠時無呼吸症候群が発見されることがよく見られます。
夜間の酸素不足状態を繰り返していると、血圧コントロールや血糖コントロールが悪くなることや、多血症を引き起こすこと、さらに心臓疾患、狭心症、脳梗塞の危険が高まる心配が出てきます。その他にもいくつかのリスクが調査結果で示されています。
主な原因は、鼻から喉までの空気の通り道である気道のどこかが、何らかの理由で狭くなってしまうことです。
睡眠中は体の筋肉の力が緩み、喉のまわりの筋肉も緩みます。仰向けに寝る姿勢では舌が喉へ落ちるので、さらに気道は狭くなってしまいます。
呼吸をした際に、細い気道の周りの粘膜が振動するといびきが起こり、空気の通りが少なくなれば体内の酸素濃度が下がって(低酸素血症)しまいます。
“首が太い”、“首周囲に脂肪がついている”、“あごが小さい”、“下あごが後方に引っ込んでいる”、“舌の付け根が大きい”、“歯並びが悪い”のような体型が影響する原因もあります。
会議や運転に支障があるような日中の眠気や集中力低下、いびき、夜間頻尿、熟睡感がない、起床時の頭痛や喉の渇きや乾燥などは、この病気を疑う症状です。
症状 | 徴候 |
---|---|
いびき | 高血圧 |
日中の眠気 | 肥満 |
朝の頭痛、熟眠感がない | 不整脈 |
インポテンツ | 浮腫 |
夜間のトイレが多い | 糖尿病 |
起床時ののどの渇き | 多血症 |
窒息感で目が覚める |
日中の眠気の障害度については自分で行えるセルフチェックがあります。
セルフチェックはこちらです。
症状・症候やセルフチェックを実施してみて「もしかしたら?」と思われた方は専門の医療機関を受診しましょう。
無呼吸症候群の疑いがある方は、睡眠中の体の状態を検査します。
手と鼻にセンサーを付けて、酸素飽和度、脈拍、呼吸を評価する検査をはじめに行います。
ご自宅で一晩だけで実施できる睡眠中の簡便検査ですので、入院する必要がありません。
当院ではこの検査キットをご自宅送付させていただき、返送後10日ほどで解析結果を説明する睡眠時無呼吸症候群の診察を行っています。
初診で簡易検査の申し込み⇒希望日に検査キットを自宅郵送⇒一晩の睡眠検査⇒返却郵送⇒再診日にクリニックで結果説明
費用:3割負担の方の場合2,700円(健康保険が適用されます)
検査の結果で一定の基準を超す無呼吸障害を認めた場合に、CPAP(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)というマスク治療が保険適応となり治療可能です。
簡易検査では、無呼吸低呼吸回数が40回/時以上の重症判定がその基準となります。
CPAP療法は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気(酸素ではありません)を送って気道を開いておくものです。CPAP装置からチューブを伝い、鼻に装着したマスクから肺へ空気が送り込まれます。
治療開始により良い睡眠を確保でき、つらかった症状の解消や合併する身体リスクの低下が期待されます。CPAPの鼻マスク治療は国内で最も普及している治療方法の一つです。
当院ではCPAPの治療を実際に開始する際には、検査結果だけでなく、症状やお持ちの病気の状態も参考に相談いたします。適応があれば、外来でのCPAPの鼻マスク治療を開始し、継続診療を行っています。治療費用は3割負担の方の場合で月額4,500円程度です(健康保険適用)。
その他の治療法としてマウスピース、外科治療があります。
軽症ではマウスピースを利用する場合もあり、専門歯科や口腔外科に紹介させていただきます。
骨粗しょう症は骨がもろく弱くなり、骨折のリスクが高まる疾患です。患者さん数はわが国で約1300万人と推測されています。しかし病院やクリニックで治療を受けている方は約20%で、残りの方は受診や治療の機会がありません。骨粗しょう症は症状が現れにくく、気にしなければ検査・診断や治療のチャンスがないからかもしれません。
骨粗しょう症の怖いところは、寝たきりになることや、身体不自由の後遺症が残る部位の骨折を容易に起こすからです。通常の外傷時におこりやすい手足末端の骨折と違い、骨粗しょう症による骨折は脆弱(ぜいじゃく)性骨折といい、尻もちをつく程度でおこしてしまう腰椎(背骨)や大腿骨頚部(脚の付け根)の骨折なのです。
もう一つ知っておきたいことは、骨粗しょう症ではいつのまにか骨折を起こすことがあります。背骨の一つの骨折が、上下の骨に負担をかけて、2個3個と連鎖的に骨折が続くことがあります。背骨が曲がってきた方、身長の低下が見られた方は、骨粗しょう症といつのまにか骨折の可能性があり、要注意です。
加齢の影響は大きいですが、特に女性は閉経後や高齢期で気をつけなければなりません。女性ホルモンの低下とかかわりが深いため、40~50代以降の女性や閉経が早かった方では骨密度検査をお勧めします。その他にご家族の中に背骨の骨折や脚の付け根の骨折を起こした方がいる方、骨をもろくする薬剤(ステロイド薬)の治療年数が長い方も、まず検査を考えてみましょう。
治療薬はさまざまな作用機序の薬剤がありますので、検査結果と病状に合わせて選択します。これは骨密度の低下を抑え、骨折を防ぐ治療薬となります。
院長は日本骨粗鬆症学会認定医ですので、骨粗鬆症の検査をしてみたい、骨粗鬆症が気になる、専門的な意見を聞きたい方は是非ご相談下さい。