くればやし内科

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糖尿病内科

Diabetes Medicine department

糖尿病内科Diabetes Medicine department

2型糖尿病

血糖コントロール

糖尿病は今や国民病と呼ばれるほどに増え続けており、血糖コントロールが悪い状態が継続することは、「網膜」「腎臓」「神経」の三大合併症をはじめとした全身の合併症が出現する危険につながります。
しかしわが国の糖尿病の95%を占める2型糖尿病の実態では、長い年月病状がないため無治療に放置され、そのために合併症に苦しむ方が少なくありません。
当院では、糖尿病があっても合併症に悩まされることがないように医療を目指して、患者さんおひとりおひとりの糖尿病の状態に合わせた治療方針を検討し、患者さんご自身と一緒に考えながら、ライフスタイルに合わせた治療をご提案させていただきます。

院内検査では血糖値、ヘモグロビンA1cの測定器を設置しており、30分以内に検査結果がでます。肝機能・腎機能やコレステロールなどの脂質検査、尿検査も当日速やかに検査結果が分かりますので、ご説明し治療方針を決定しています。
もちろん食事、運動療法は治療の大切な部分でありますので、しっかりとご理解いただけるよう説明します。

1.症状
高血糖の症状として、喉が渇く、尿が多い・夜間のトイレが多い、体重が減ることが良く言われています。しかし実際はかなり高い血糖値にならないと症状はでてきません。自覚症状が現れる前、無症状の段階から、実は高血糖に弱い臓器が傷んでくることが、糖尿病で最も注意を要する一つであるのです。“網膜” “腎臓” “神経” “血管”が高血糖に弱い臓器であり、糖尿病合併症といわれるものです。ですので、「無症状だから」、「体調が良いから」、「この程度の異常値だから」まだまだこのままでいいのだろうという自己判断が、放置してしまうことになりかねないので注意して下さい。
2.治療の目標
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害という三大合併症や血管合併症(動脈硬化症、脳梗塞、狭心症・心筋梗塞)を起こさないよう、また高度な病状に進めないよう予防することが糖尿病治療の大きな目標であります。また併せて持っている他の病気の治療に対して、今の血糖コントロール状況が支障を与えないようにきっちりと治療しておくことも大切です。血糖コントロールが不良の場合、悪性腫瘍が発見されても、白内障の手術をすぐ受けたくても、血糖治療入院が優先されてしまうことは少なくありません。
3.治療方針
治療の三本柱は、食事・運動療法、薬物療法です。お薬治療を行う前段階の方だけでなく、薬治療や注射治療中の方であっても、日常生活の中での食事と運動療法が大切になります。ご自身でただ気をつけるだけでは十分な効果が現れない場合もあります。当院では医師、療養指導看護師、管理栄養士が、食事療法や運動療法の生活アドバイスをさせていただきます。
またお薬治療では、患者さん個々の病状・病態や糖尿病段階に合わせて、内服薬治療や注射治療(GLP-1受容体作動薬、インスリン導入)を行います。まずは患者さんのライフスタイルやご希望をお聞きしながら、治療を提案させていただきます。注射治療に進む場合であっても、可能ならば1日1回の注射や週1回の注射など、負担を感じることなく治療を強化できる方法を提案したいと考えています。外来でのインスリン導入や血糖自己測定を開始する際は、療養指導看護師が指導サポートいたします。
私たちは患者さんとともに、“低血糖を避けながら“、“体重増加を防ぎながら“、”長く良好なコントロールを保ち“、”臓器合併症を起こさず、健康で長生き“を目指して治療をすすめていきたいと考えています。

1型糖尿病

1型糖尿病とは ― インスリンが欠かせない病気

血糖コントロール

1型糖尿病は自己免疫の異常などにより膵臓のβ細胞が破壊され、インスリン分泌がほとんどなくなる疾患です。誰のせいでもなく突然発症することが多く、発症後すぐにインスリン治療が必要となります。治療は一生続きますが、「正しく理解して、生活に合わせて調整できる」ことで、安心して毎日を過ごすことができます。

当院では、日本糖尿病学会専門医である院長を中心に、糖尿病療養指導士などの専門チームで連携し、患者さん一人ひとりの生活を考えながら、専門的なインスリン治療を行います。

生活に合わせたインスリン療法・インスリンポンプ
① 超速効型インスリンと持効型インスリンの自己注射

食事に合わせて分泌される追加インスリン超速効型インスリンの皮下注射で、24時間分泌される基礎インスリン持効型インスリンの皮下注射で補充します。インスリンの注射器は使い捨てのボールペンのような使い捨て型のペンを用います。

時効型インスリンと超即効型インスリンによるインスリン療法
② インスリンポンプ(CSII)療法

インスリンを小型の機器(ポンプ)で持続注入する治療法です。細いチューブを通して皮下にインスリンが24時間持続的に入ります。1日に何回も食事や補正のために注射をする必要がなくなり、ボタン操作でインスリンの注入が可能です。おやつや外食の際も周囲に気づかれずにボタン操作でインスリンを注入することができます。従来の頻回自己注射療法よりもインスリン投与の細かい調整ができるため、より柔軟により細やかに血糖コントロールを行うことができます。

▶主なメリット

  • 針を刺す回数が減る
  • 血糖値の乱れが少ない
  • 低血糖を予防しやすい
  • 夜間の安心感が高い
  • 仕事・学校・運動と両立しやすい

「まずはポンプを使ってみたい」そんな方には、一般的なインスリンポンプ(CSII)単体で使用することをおすすめします。

さらに進化したインスリンポンプの機器が使われています。

③ SAP(センサー連動型ポンプ)療法

SIIに CGM(持続血糖測定)を組み合わせたタイプです。血糖値の変動を常に確認でき、低血糖の予兆がある場合には、連動するインスリンポンプが自動で一時停止できます。低血糖の不安が減り、これまでよりも血糖を気にしすぎることが減ります。

④ AID(自動インスリン注入)療法

最も進んだタイプです。CGMと連動し、血糖値の変動をAI解析します。基礎インスリン量を自動調整してくれます。高血糖・低血糖に対して予防的にコントロールしてくれますので、考える負担が減り、日常生活のなかでコントロールがしやすくなります。

◆おすすめの代表的な2機種

メディセーフウィズ(テルモ社)

メディセーフウィズ(テルモ社)

小型のポンプを装着して、チューブでつながないためチューブのストレスがありません。タッチパネル式リモコンで簡単に操作できるので、ティータイムのおしゃべり中にインスリンを追加注入することも簡単です。機器操作がシンプル、費用が抑えられる一面があります。 チューブを気にせず動きやすく、目立たないので、女性におすすめです。

ミニメド 780G (メドトロニック社)

ミニメド 780G (メドトロニック社)

新しいインスリンポンプの一つで、AID療法が可能です。血糖値に応じて基礎インスリン量が自動調整され、加えて追加インスリンも自動補正してくれる機能を有します。血糖の安定化をサポートしてくれます。

◆インスリンポンプは便利な反面、注意点もあります。

機器を常に装着するため、煩わしさを感じる方もいます。チューブやセンサーの交換、インスリンの補充、固定テープによる肌トラブルなど、これまでにはない作業が必要になります。また、従来の注射と比較すると費用負担が増えることがあります。
万能な治療ではありませんが、メリットとデメリットを理解し、生活や希望に合うか相談しながら選択することが大切です。

CGMを用いた日常の血糖モニタリング

リアルタイムCGM

リアルタイムCGMは血糖値を常時確認することが可能であるため、データを確認しながら、その都度血糖コントロールを是正するための行動をとることができます。CGMを使いこなすことが血糖コントロールの質を大きく左右します。

CGMを用いて生活血糖をモニタリングすれ、外来でデータを解析して共有することができます。血糖の山と谷を可視化することで、「朝だけ高い理由」、「運動後に低血糖が起きる理由」、「食後の急上昇を抑える方法」などを、受診の際に一緒に分析します。

当院では、2機種のリアルタイムCGMの導入が可能です。
リブレ2(アボット社)

リブレ2(アボット社)

  • 装着期間:最大14日間
  • 測定方法:スマホやリーダーをかざしてスキャン
  • アラート機能:低血糖・高血糖を通知
  • データ共有:アプリでご家族や医師と連携
  • 特徴:初めてでも扱いやすく、導入しやすい機種
デクスコム G7(デクスコム社)。

デクスコム G7(デクスコム社)

  • 装着期間:最大10.5日間
  • 装着部位:上腕か腹部から選択可能
  • 測定方法:スマホにリアルタイム自動送信(スキャン不要)
  • アラート機能:低血糖・高血糖に加え、急な変動も通知
  • データ共有:クラウド経由でご家族や医師とリアルタイム連携
  • 特徴:センサーは径27ミリ、Apple Watchでも確認可能
専門チームによるサポート体制

1型糖尿病は、治療と生活が密接に結びついています。
学校行事、受験、就職、妊娠・出産、海外出張や旅行など、人生の節目やイベントでは、不安や迷いが生じることがあります。そのような時こそ、一人で悩まずにご相談ください。
当院では、治療が安全に続けられるよう、事前にできる準備や対策について一緒に考えます。日常生活のなかでも、困りごとは少なくありません。

  • 血糖自己測定やCGMの使い方
  • インスリン注射やポンプ操作
  • 低血糖への対応方法
  • 食事のとり方・調整のポイント
  • 運動時の注意点 など

こうした場面で迷うとき、「これで合っているのかな」「誰かに相談したい」と感じることは自然なことです。
当院では、専門医・糖尿病療養指導士・看護スタッフによるチーム体制でサポートします。
治療だけでなく、生活全体を見守り、患者さんに寄り添うケアを大切にしています。

こんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
  • 血糖コントロールに悩み、もっと納得のいく治療をしたい
  • 最新の機器を試してみたいけれど不安がある
  • ポンプ治療中で、転勤や引っ越しをする
  • 最新のCGMを使った自己管理をしたい
  • 大学病院や総合病院で待ち時間が長い
  • 治療と仕事や育児の両立に悩んでいる
  • 自己注射がつらくなってきた

まずはご相談ください。ご希望があれば、前医との情報共有も丁寧に行い、治療を途切れさせることなくスムーズに引き継ぎます。

最後に ― 一人で抱え込まないでください

1型糖尿病は、ときに不安を抱えやすい病気ですが、正しい知識とチームによる支えがあれば、自分らしい生活を続けることができます。
「生活や病状に合わせて調整してもらえる」
「新しい治療にも対応している」
そんな安心を、当院で実感していただければと思います。
治療も、生活も、これからの人生も、希望をもって頑張ってほしい。安心して過ごせるよう、私たち専門チームがお手伝いします。