糖尿病の治療・薬物療法
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糖尿病の治療・薬物療法
糖尿病治療の目的は、「血糖値を下げること」だけではありません。
本当に大切なのは、合併症のリスクを減らし、できる限り健康寿命をのばすことです。そのために私たちは、「血糖コントロールの目標値」を一人ひとりに合わせて設定し、継続できる治療を目指しています。
血糖の状態がどの程度コントロールできているかを知る指標として、HbA1c値が使われます。
糖尿病による網膜症・腎症・神経障害などの合併症の発症や進行を防ぐことを目的としています。
ただし、この数値はすべての人に共通の「正解」ではありません。患者様の年齢や体力、合併症の有無、低血糖のリスクなどに応じて、目標は柔軟に調整します。

高齢者では、過度に厳格なコントロールによる低血糖のリスクが問題になります。
そのため、「少しゆるめの目標」が安全面から推奨されます。
さらに、年齢が80歳を超えるような超高齢者では、生活状況や認知機能、体力を考慮し、「年齢÷10」を目標とする柔軟な考え方もあります。
例:90歳の方なら「90÷10」 →目標HbA1c 9.0%
一方で、65歳未満の方は、腎臓や眼、血管といった重要な臓器を将来にわたって守るため、より良い血糖管理が重要になります。
この世代では、HbA1c 6.5%未満を目指すケースもありますが、あくまで無理のない範囲で、生活スタイルや仕事・家庭の状況も考慮して、目標を決めていきます。
基本の食事療法・運動療法の次に、薬物療法が血糖をコントロールする重要な柱となります。

糖尿病のタイプや体の状態、生活スタイルは人それぞれ異なるため、薬も「効き目」だけでなく、「安全性」と「生活スタイルとの相性」が大切です。
糖尿病の薬物は大きく分けて「内服薬(飲み薬)」と「注射薬」があります。
飲み薬には、作用する臓器と仕組みの異なるさまざまなタイプがあり、現在は9種類の経口薬が使われています。「効きやすい薬」「避けるべき薬」は人によって違います。ですからお薬を上手に選択することが重要になります。
GLP-1は「インクレチン」と呼ばれる消化管ホルモンで、インスリンの分泌促進・グルカゴン抑制・食欲を抑える・食物の胃からの排出を遅らせるなど多彩な働きをします。
このホルモンの作用を補うのがGLP-1受容体作動薬で、次のような利点があります

※導入初期に吐き気や胃もたれを感じることがありますが、多くの場合は継続することで軽快します。
▶「最後の手段」ではありません
インスリンは体内で唯一血糖を直接下げるホルモンです。そしてこのインスリンを補う「インスリン注射」は、妊娠中の方や赤ちゃんにも使われるほど、安全性の高い治療法でもあります。
以下のようなケースでは、インスリン治療の導入を検討します:
誤解1:「インスリン治療になったら終わり?」ではありません。
インスリンは、疲れた膵臓を一時的に休ませ、回復を促す治療でもあります。しっかり血糖コントロールが整えば、内服薬に戻せる場合もあります。「ここから立て直す」ための第一歩と考えて下さい。
誤解2:「ギリギリまで飲み薬で頑張る」のが正解ではありません。
膵臓を薬で強く刺激していると、高血糖も続くと膵臓は疲弊してしまいます。適切なタイミングでのインスリン導入が、膵臓を守る近道になることもあります。
| 種類 | 働き | 用途 |
|---|---|---|
| 超速効型インスリン | 食後の血糖を抑える | 食直前に使用。食事に合わせて打つ。 |
| 持効型(基礎)インスリン | 1日を通して血糖を支える | 夜や朝に1日1回打つ。 |

1種類だけで食前・食後の血糖コントロールができない場合は、必要に応じて2種類を併用して、血糖の山や谷をならす工夫をします。
さらに持続血糖モニター(CGM)やインスリンポンプを用いた治療も進化しています。
糖尿病の治療は、単に血糖値を下げるためだけではありません。合併症を予防し、健康な日常を過ごすこと、そして人生をゆたかにすることが最大の目標です。
当院で行う糖尿病のお薬治療は、薬を足すだけでなく、減らす・変える選択も含めて、治療を“あなたの今”に合わせて見直していきます。
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